アカデミー指導者トーク・青山剛ヘッドオブコーチ(月刊コンサドーレ7月号掲載)

青山剛 札幌U-12、15チーフ兼ヘッドオブコーチ

 昔は、教える側と教えられる側として、一方的という形が強かったと思います。教える、教わるという立場はありますけど、それが上下関係ではなく、トップチームもそうだと思いますが、アカデミーも対等な関係の中で選手を尊重しながら育てていくというのが時代の流れとしてもそうですし、すごく大事だなと思います。その一方で、昔のような指導も必要という考え方もありますので、そういうことも含めて、今は過渡期として議論し、クラブとしては今の時代に合わせて変化していかなければならないと思っています。

 また、教えるところと気づかせるところのバランスも重要です。基本スタンスとして、気づく力がないとプロの選手にはなれないという考えがあります。どういうサッカーをするのかということも必要ですが、どういうスタンスでサッカーに取り組んでいくのか、どういう選手を育てていくのか、プレーの特徴はもちろん、メンタリティやマインドの部分も、もっと議論していかないといけないと感じています。

 子どもたちは、昔も今も変わったとは思いませんが、昔よりも情報など得られる、与えられるものが多いので、自分から生み出さなくても手に入るものは必然的に多くなっていると思います。そういう面は良い部分ですが、遊びから生まれる創造性のようなものは欠けやすいかもしれません。今の子供たちに合わせた中で、より分かりやすくしながらも、選手たちが自分で勝ちとらなければいけない場を設定しているような状況です。

 少子化や子供の運動能力の低下など、そういう問題にも取り組んでいくことがすごく大事と感じています。コンサドーレを通じてサッカー、スポーツを始めてくれる子どもたちが増えたり、アカデミーでもサッカーだけじゃなくて他種目にも取り組んでいくようなアカデミーにした方がいいのではないか、など話題が多いです。そういうことに取り組めるのがコンサドーレの良さだと思いますので、アカデミーの一歩前の部分も含めてですけど、いろいろなことに取り組んでいかなければいけないと思いっています。

 藤田征也君がコーチとして戻り、コンサドーレを経験した、プロ選手上がりの人材が指導者としてアカデミーに来てくれました。プロを長く続けてきた方は、指導方法に固執する感覚がなく、自分のことを押し付けない。藤田征也コーチも砂川誠コーチも、長く続けるには、好きなことを求めることとか、選手を尊重する姿勢が身についているなと感じます。これから一番期待できるのは、アカデミーのOBやトップチームのOBがたくさん帰ってきて、育成していく。これは、これからのJリーグの新しい流れなのではないかなと思います。

 

青山剛(あおやまたけし)

1974年6月1日生まれ。静岡県出身。小学1年からサッカーを始め、清水東高(静岡県)、慶応大でプレー。1999年遊学館高校(石川県)で指導者のキャリアをスタート。2017年からコンサドーレでU-18を担当。その後U-13を指導し、今季から札幌U-12、15チーフ兼ヘッドオブコーチを務める。