ミハイロ・ペトロヴィッチ監督

--試合を振り返って
私自身がマリノスを分析した中で思ったことは、やはりマリノスの攻撃というのは非常にストロングであるということ。ただウィークがあるとすれば守備のところであると分析していました。マリノスのウィークをしっかりついていきたいと考えた中で戦術を練りました、前からしっかりとボールを奪いに行く。そのことが機能すれば我々にとってアドバンテージを取ったり、主導権を取る戦いになると思っていました。やはり前線にロペス、西村、あるいは井上など個の能力が高い選手が揃うマリノスに対して、局面局面で1対1の場面を作るというのは非常にリスキーな戦い方である。相手にスペースや時間を与えれば彼らの動きというのは非常に危険なものがある。ただそうしたリスクを負ってでもやはり我々は前からボールを奪うという姿勢を見せ、今日はそれが非常にうまくいったゲームだと思います。今日もたくさんのサポーターがスタジアムに駆けつけて我々のチームを応援してくれました。彼らの後押しというものはやはり選手たちにとって大きな力になったと思います。その選手たちはサポーターに素晴らしいサッカーを見せることができたと思います。本当に今日の勝利を嬉しく思っています。

 

--裏へのボールが有効だったが、弱点を突く、ということだったか？
背後をつくということに関しては、我々はもちろんどの試合でも狙っています。神戸戦でも相手の背後をもっとつければ、相手に対して脅威になったと思う。小柏剛が復帰したということがチームの戦い方にバリエーションをもたらしている。やはり彼のスピードが相手の脅威になっている。新潟戦では彼が入ったことによって非常に危険な攻撃につなげることができたと思います。今日のゲームも同じ。札幌のサッカーはパスサッカー。スモールサッカーですが、相手も前からボールを奪いに来る。それに対して前からくれば今度は相手の背後が空く。そこをスピードのある選手で狙っていく。そうした相手が来るなら後ろを狙う。相手が下がるのであれば自分たちはパスをつないでいく、コンビネーションで崩していく。そうした攻撃のバリエーションを持つ中で、スピードのある選手というのが非常に重要だと思っている。

 

今日はまだルーカス選手や駒井選手、あるいは青木選手、深井選手もけがで離脱していますけど、モビリティのあるがスピードのあるタイプの選手が戻ってくれば、札幌はもっとアグレッシブで、もっとモビリティのある、アップテンポなサッカーが展開できると思っています。皆さんは我々の試合というものを結果で評価されると思いますけれども、見ている方の評価であり、もちろんプロである以上は結果で評価されるのは当たり前だと思います。ただ広島は上位3つを狙う手ごわい相手、そして神戸も上位を争う手ごわい相手。マリノスは昨年のチャンピオンチームで今年も優勝を狙うチーム。唯一、この4節を戦った中で我々が勝利を上げたかったチームは新潟だと思いますけど、新潟もJ2から上がってきて非常にモチベーション高く、自信を持った、今一番、勢いがあるチーム。そのチームを相手に我々は引き分けたのですが、前に札幌というチームがこれだけ多くのけが人がいる中で戦う中で、ある意味、『こういう結果であっても仕方がない部分がある』という現実のところを忘れてしまってはいけない。

 

言い方も含めて札幌というクラブはどういうクラブなのか、どういう立ち位置のクラブなのか。札幌というチームはどういうチームなのかということをしっかりと理解したうえで評価すべきではないのかと私自身は思っている。分かりやすくドイツのブンデスリーガで言えば、マリノスはバイエルンミュンヘン、札幌はボーフム。ボーフムがバイエルンに2-0で勝利した。ドイツではこの勝利では、おそらく1週間、ずっとそのテーマで記事が書かれる。バイエルンがボーフムに負けたとなれば、非常にセンセーショナル。バイエルンミュンヘンは予算200億円のチーム。ボーフムは10億のチーム。やはり、それくらい規模の違うチームでの戦いということあれば、ドイツでは大きなニュースになる。日本ではおそらくあすの新聞紙面に記事が出て、おそらくその次には記事は出ない。それが日本のスポーツメディアの感覚であるということ。私は17年、日本で仕事をしてきた中で、今日のゲームというのは最も洗練されたゲームだったと思っています。非常にモダンでアップテンポで、アグレッシブで、非常に素晴らしい戦いができたゲーム。この17年間の私自身が仕事をしてきた中で、最も優れたゲームだったと評価できるゲームだったのではないかと思っています。

 

私自身は試合の勝利を求める中で試合の内容も求める監督ですが、今日のゲームというのは結果においても、内容においても非常に素晴らしいゲームだったと思います。だからこそ私自身は非常に今日の試合で勝利できたことをハッピーに思っています。今日のゲームはたくさんチャンスがあったと思います。そのチャンスをしっかり決めていれば6点、7点が取れていたと思います。それくらい魅力のある素晴らしいゲームだったと思います。試合を振り返ってもう一度映像で振り返って皆さんもこの試合を分析されたら面白いのではないかと思います。